正しい歩行の重要性
歩行について。
人が移動する際の身体の動き方を、細かく見たことがありますか？歩くときに体がどのようにシフトするか、足が地面に触れる様子まで観察したことがありますか？
歩行は機能的に非常に重要ですが、さらにアスリートのパフォーマンスにとっても重要です。アスリートとして、過度の使用や外傷から発生する怪我は一番避けたいため、その予防措置を講じることが必要です。そして、歩行分析はフィールド内外で特定の状態を発症する可能性がどれくらいあるのかを示す最良の指標の1つです。
歩行について知っておくべきことと、なぜ歩行分析を行うことで動きのアンバランスが理解でき、パフォーマンスが完全に変わり、怪我のリスクが著しく減少するのかついて解説します！
歩行とは？
歩行（Gait）は一人ひとりの動きのパターンを表す言葉で、人の歩き方を指します。人間の歩行は、神経や筋骨格、心臓呼吸器系などの複数部の複雑な相互作用に大きく依存しており、年齢、正確、気分、社会文化的などのさまざまな要因に影響を受けています [1]。
自分の歩行と動き方について学ぶことは、全体的なパフォーマンスのために重要です。これにより、関節の適切な機能をサポートするために、関節が硬直しているか、筋肉が弱いか、可動域が不足しているかなどの潜在的な動きのアンバランスを理解するのに役立ちます。これらが矯正されない場合、体は非効率的でバランスの取れていない方法で動かざるを得ず、最終的に過度な内反、外反、または骨盤の傾きなどの生体力学的な異常を引き起こします。これらの異常は時間とともに関節に過度な摩耗をもたらし、パフォーマンスの低下や重大な怪我の原因となる可能性があります。
歩行がアンバランスかどうかを判断する1つの方法は、歩行分析を行うことです。これは、ケイデンス、ストライド長、速度、足および股関節の角度などの要素を測定し、不適切なメカニクスを見るシンプルなテストです。正しい歩行、およびウォーキング/ランニングのテクニックとメカニクスを備えた場合、関節、筋肉、身体全体を一つの協力的なユニットとしてサポートし、パフォーマンスを大幅に向上させ、ストレスとそこから発生する怪我のリスクを減少させます。
歩行分析はまた、筋力、モビリティ、柔軟性、安定性の個別のレベルにも示唆を与え、これらはすべてトレーニングとパフォーマンスの重要な要素です。
下記を試してみてください：
自宅で足の構造を簡単に確認するための方法として、足の裏を湿らせて足跡を残すもの（紙、コンクリート、暗いタイルなど）に乗ります。この足跡が、足の歩き方について多くのことを教えてくれます。以下のどのタイプか確認してみてください：
プロネーションの種類を理解する
プロネーションとは歩行およびランニング時の着地時に足が自然に示す動きです。主に3つのプロネーションのパターンが発生します。
- 正常/ニュートラルプロネーション：ニュートラルプロネーションは、足が着地時に約15％自然に内側にひねる状態で、ショックを吸収し、足首と脚を適切に整列させることができます。ニュートラルプロネーションを目指すことで、一般的な足と足首のけがのリスクが低減します。
- オーバープロネーション：足が内側または下方に約15％以上ひねることがあり、結果としてアーチが崩れて足が過度に平らになります。オーバープロネーションの人は通常「扁平足」を持っていると考えられ、これは脛骨炎、ランナーズニー、ストレス骨折、踵腱炎、アキレス腱炎などの状態のリスクを増加させます。
- アンダープロネーション（スピネーション）：アンダープロネーションまたはスピネーションは、足が着地時に足首から外側にひねる状態で、足の外側のエッジと小指に過度の圧力をかけます。スピネーションは一般的に高いアーチと強くて硬いアキレス腱を持つ人に影響を与え、アキレス腱炎、踵腱炎、足首捻挫、脛骨炎、ITバンド症候群などのショックに関連する怪我のリスクを増加させます。
正しい歩行が重要な理由
歩行は単なる歩き方の修正に思えるかもしれませんが、実際にはそれ以上のものです。歩行のアンバランスは、パフォーマンスを大きく左右するのです。様々なアクティビティの中での技術やフォームを向上させるためにトレーニングするように、歩行の動作パターンが正しいかどうかを確認します。
バランスと安定性を向上
適切なバランスと安定性がなければ、ウェイトリフティングやスポーツだけでなく、日常の動作も難しくなります。バランスはすべてのことに直接的な影響を与え、それがなくなると足や脚を望むように動かすのが難しくなります。
- 安定性 = 動作全体を通して頭からつま先まで体の位置をコントロールする能力
- バランス = 支持基盤の上で重心を保つ能力
バランスと安定性は同義ではないものの、アスリートにとって非常に重要です。これらはアスリートがそれぞれの動きに対して体をコントロールするために協力しています。
優秀なアスリートは常に安定している必要はありませんが、バランスを保つことは重要です。なぜなら、悪いバランスはコントロールを失う意味を持つ可能性があるからです。
バランスと安定性を向上させると、あらゆる目標を向上させる可能性が高まります。歩行トレーニングは、一貫した安定性とバランスを得るまでの間、脚に体重を乗せ、その体重移動を行うことの手助けをしてくれます。
機能的な欠陥のある人のために立ち方、歩き方、走り方の最適化
歩行トレーニングと歩行のアンバランスを修正することは、筋肉と関節を強化、姿勢とバランスを改善、持久力の向上、反復動作のために脚を再トレーニングし、マッスルメモリーを開発します。トレーニングを一貫して行うことで、立って歩くことができるだけでなく、機能的な動作の欠陥を克服することもできます。
怪我のリスクを軽減
歩行のアンバランスを修正することは、パフォーマンスに大きな違いをもたらすだけでなく、怪我のリスクを軽減するための簡単な方法です。歩行トレーニングは足と体を再調整し、姿勢を改善し、脛骨炎、踵腱炎、足首の捻挫、その他の一般的な足・足首・脚の怪我などの発生リスクを最小限に抑えます。競技に向けてトレーニングしているにせよ、PR（個人記録）を目指しているにせよ、誤った動きをしてしまって怪我をしたら元も子もありません。歩行を修正し、足と足首を強化すれば、適切に機能的な動きのパターンをサポートする方法で、怪我のリスクを軽減できるのです。
歩行を修正するためのヒント
上述したすべてのことを頭に入れると、歩行を修正することは複雑なように見えるかもしれませんが、そんなことはありません！
歩行を修正することは、毎日一連のエクササイズを行うことで、足と足首をリアラインし、足より上にあるすべての部位の運動連鎖を修正するのに役立ちます。実施するエクササイズは、対処したい歩行のアンバランスの種類によって変わってきます。以下は、オーバープロネーションとスピネーションでお困りの方に向けたエクササイズの一例です。
オーバープロネーション
オーバープロネーションを抱える人にとって、足をリアラインし、自然なプロネーションに戻すのに役立つ2つの重要なことがあります。
1. 足指スペーサーを使用
足指スペーサーは通常使用されない足特有の筋肉を強化し、親指のリアラインを自然に助けます。つま先スペーサーは足指の圧力を解放し、リアラインするだけでなく、動き中で圧力を再分散するのを助け、足にもメリットをもたらします。
その他の効果：
- 摩擦と刺激を軽減
- 足とつま先の痛み、病気、変形に対処
- 自然なアーチサポートを可能にする
- オーバープロネーションと関連する怪我を防ぐ
- 足底筋膜への血液流入を改善
- 適切な骨の方向に修正
- 体に最も安定したサポート基盤を提供
- 足特有の筋肉の発達と強化を促進
- バランス、体重分布、固有受容、器用さを向上
- サポートを向上のための足の強化と回復力向上
2. 足の筋肉を伸ばし、強化する
オーバープロネーションを改善させるために、オーソティクスに投資したり、クッション入りまたはカスタマイズされた靴を履くことは、場合によっては状況を悪化させることもあります。その代わりに、過度なプロネーションは足を強化するエクササイズで修正することも可能です。
これを試してみてください！
- アーチリフト：地面に足を置いた状態で、つま先を持ち上げずにアーチを持ち上げてみてください。3秒間保持して、解放することを繰り返します。両足でやることを忘れないでください！
- フットロール：足の親指と足のつなぎ目の下にテニスボール/ラクロスボール（またはEI8HTBALL）を置きます。ボールに体重をかけながら、ゆっくりとかかとに向かってボールを転がします。圧力を増す場合は、つま先を伸ばしたり曲げたりしてみてください！
- タオルカール：足の下にタオルを置き、かかとを動かさずにタオルを自分に引き寄せます。
- マーブルピックアップ：複数のマーブル（ビー玉）を床に置き、つま先を使って一つずつ拾います。
- ビッグトゥストレッチ：右足首を左ひざに置きます。足の親指を掴んでゆっくりと後ろに引っ張り、10〜15秒保持して解放します。反対側も繰り返してください。
スピネーション
スピネーションを抱える人にとっても、オーバープロネーションと同様に、オーソティクスが解決策ではありません。快適さにより、かかとの痛みを減少させるかもしれませんが、足の筋肉は補助なしで問題に対処できるのです。したがって、サポートアイテムを使用せずにスピネーションに対処するためにできることがいくつかあります。
フォームを修正するために歩行を分析
各歩幅でかかとの後ろではなく、中足に近い位置に着地するように意識してください。また、歩幅が大きい場合、より短な歩幅で歩くことを心がけてください。
ストレッチとマッサージ
スピネーションで悩んでいる場合、ストレッチをたくさんし、正しいフォームを得るために脚を動かしましょう。多少バイアスがかかっていますが、EI8HTBALLは足、ふくらはぎ、ハムストリングス、クワッドを和らげるのに最適です。
- カーフロール：EI8HTBALLをふくらはぎの下に置き、30〜60秒間前後に転がします。
- アンクルフレクション：足首を屈曲させ、または小さな円を描くように動かします。各足で10〜15回繰り返します。
- フットプル：抵抗バンドを足の裏に巻き、軽く引っ張ります。バンドにテンションがかかる程度の位置に座ります。
- カーフレイズ：床または階段の端で、片足または両足で20〜25回ずつカーフレイズを行います。
- フォワードベンド：肩幅程度の歩幅で立ち、前傾して腕を垂らします。これは信じられないほど気持ちがいいだけでなく、硬直したハムストリングスを伸ばすのに役立ちます！好きなだけ長く保持してください。
筋力をつける
靴（および靴下）なしでトレーニングすることで、足と安定性を重点的に強化できます。単脚のエクササイズを行う際には、親指の関節を押し下げることに集中することで、ふくらはぎと足の筋力が向上し、足首の安定性につながります。
まとめ
ウェイトリフティング中の可動域、慢性的な腰痛、またはハムストリングス・ふくらはぎのストレングスが不足している場合でも、アンバランスを発見するために歩行を分析しておくことで、パフォーマンスと日常の機能性が大幅に変わる可能性があります。そして、これらの問題に対処するために多くのプロが提案するものとは対照的に、オーソティクスやその他のサポート器具に投資することが正しいとは限りません。足指のスプレッダーやローラー、そして足指を広げるのに適したサイズの靴などへの投資は、動きのパターンにおいて大きな違いを生み出すことがあり、怪我のリスクも軽減してくれます。